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植物が持つパワー(全3回)第1回

みなさんは植物の持つパワーについてご存じですか?食品や化粧品など、植物由来製品は現代社会の中に数多く存在しています。でもその植物の持つパワーについてはご存じない方も多いのではないでしょうか?
植物療法士(フィトセラピスト)であり、日本フィトセラピー協会代表理事を務める池田明子先生は、「植物が持つパワーを生活に生かすことで、ココロとカラダが潤った毎日が送れる」と話します。今回、植物の持つパワーや活用方法について池田先生にお話を伺い、3回にわたってお届けします。

植物

1.「実は身の回りにあふれている!生活の中で活用される植物のパワー」

「ヒトは古代から現代までさまざまな形で植物を活用して生き延びてきた」と池田明子先生は話します。

人は古くから植物を薬として使ってきました。また西洋医薬品の元となる成分として使われている植物も多くあります。さまざまな説があるそうですが、なんと西洋医薬品の7割ほどが植物から抽出されたものが元になっているとも言われているそうです。
みなさんも生活の中で耳にしたことがあるのではないでしょうか?

たとえば、ケシの実から抽出されるモルヒネは痛みの緩和・麻酔として利用されています。柳の樹皮などから抽出されるサリシンは鎮痛効果があるといわれ現在はアスピリンとして解熱鎮痛時に利用されています。
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そのほかにも抗がん剤や、ワクチンなどにも、植物の成分から発見されたものがたくさんあります。このような西洋医薬品などに活用される成分は“フィトケミカル(植物由来成分)”といいます。
では、なぜ植物はこんなにもパワフルな力があるのでしょうか。

池田先生によると、動物は嫌なものが来ると逃げたり、直射日光を避けたりできますが、植物は動くことができません。そのため、過酷な環境下でも元気に実をつけて子孫を残し、なんとか生き延びていくために、外敵から身を守る成分を自ら作り出すそうです。それらの機能成分が“フィトケミカル”であり、植物の持つパワーとなっています。
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植物は紫外線から身を守るため、また害虫や細菌などの外敵から身を守るために苦味・辛味、香り成分、保湿成分、抗酸化物質といった数多くのフィトケミカルを生み出しています。だから植物は雨風や強い日差しに耐えることができるのです。よく知られている人参に含まれるカロチンや、大豆イソフラボン、主に緑茶に含まれるカテキンなども、フィトケミカルの一種です。

植物が身を守るために作り出すフィトケミカルは、人間にとっても有効です。冒頭に述べたように、薬にはフィトケミカルから発見されたものが多くあります。また、化粧品やサプリメントなどにも取り入れられています。

【記事監修】

池田明子(いけだあきこ)/フィトセラピスト(植物療法士)、ソフィアフィトセラピーカレッジ校長、西九州大学客員教授、一般社団法人日本フィトセラピー協会代表理事、一般社団法人日本ハンドケア協会代表理事、植生工学士


臨床検査技師として病院勤務の経験からフィトセラピー(植物療法)を学び、2006年東京・自由が丘にて、フィトセラピストやハンドケアセラピストの養成校ソフィアフィトセラピーカレッジを設立する。日常生活から医療、介護分野までのフィトセラピー、ハンドケアの有効活用を普及。現在は全国各地で講座を主催するほか、大学や専門学校とのコラボ講座も積極的に行う。夫は俳優・歌手の梅沢富美男。